経営者に「大成功する脳の使い方」を指南する能力開発の第一人者、サンリ代表取締役会長・西田文郎 氏。経営者だけを対象とした「経営脳力全開塾」では、爆発的に業績を伸ばす門下生が続出し、全国から問い合わせが殺到。2008年の北京五輪では、日本女子ソフトボールチームのメンタル指導を担当、チームは驚異的な組織力を発揮し、見事金メダルを獲得、あらゆる分野で圧倒的な実績を上げ、トップアスリートや経営者たちから強い支持を得ている。

強運の法則
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本記事は、一代で大事業を築いた名経営者に共通する【強運をつかむ8つの資質】を体系化し、これまで一部の限られた経営者だけに伝授してきた〈西田式経営脳力全開プログラム〉を初めて一般公開した著書『強運の法則』(税込16,500円、日本経営合理化協会出版局)の第1章、P22-30から一部を抜粋・編集して掲載しています。

目次

  1. 強運を掴む8つの資質
  2. 【成功者の資質1】大きな野望―松下幸之助翁の場合
  3. 書籍詳細
    1. 強運の法則

強運を掴む8つの資質

運
(画像=fizkes/Shutterstock.com)

私が今まで見てきた数々の成功者たちは、ジャンルに関係なく、第2表にまとめたように、6つの共通点がある。

第2表
(画像=強運の法則)

この6つについては、これから究極の成功レベル「無欲の欲」まで達した大成功者を例にあげながら、ひとつひとつ詳しくお話しするが、そもそも成功、それも地位や名誉や富をつかむという「社会的成功」には、第3表のようにレベルがあるのだ。

第3表
(画像=強運の法則)

つまり、ひとくちに「金持ち」といっても、ピンからキリまであって、大きく分ければ「稼げる人」と「稼げない人」の2種類に分別されるのであるが、その「稼げる人」のなかでも、「ぼちぼち稼ぐ」から「大きく稼ぐ」、さらには「もの凄く大きく稼ぐ」まで、3段くらいの成功レベルがある。

「ぼちぼち稼ぐ」人間は年収にして1千万から2千万円くらいで、そこそこの一戸建てに住み、車はベンツかBMWといったところであろうか。子供を私立の小学校に入れたりするくらいの経済力はある。

これが「大きく稼ぐ」ようになると、その経済力は格段に違ってくる。道行く人が思わず振り返るような家に住み、ヨットやクルーザーぐらいは持てる。仕事や遊びでも桁外れに行動範囲が大きい。飛行機は、ファーストクラスで、移動はハイヤーといったところだろう。

そして、このレベルまでの成功を手に入れるためには、先にあげた6つの資質を身につける必要がある。このどれが欠けても、大きく成功することは難しいだろう。

ちなみに、本書の読者は経営者の方が主であるから、現在の皆さんの成功レベルは「大きく稼ぐ」か、あるいはその下の「ぼちぼち稼ぐ」成功レベルに属されている方が一番多いのではないかと思う。

ということは、皆さま方がこれから手に入れたいと願っている成功レベルは、恐らく次の「もの凄く大きく稼ぐ」成功レベルであろう。この「もの凄く大きく稼ぐ」とは、年商で100億、個人資産だと30億円以上のレベルである。

ただし、このレベルの成功を掴つかむには、6つの資質の他に、さらに次の2つがどうしても必要になってくるのだ。それが何かというと、「使命感」「感謝」である。

第4表
(画像=強運の法則)

じつは、この2つこそが無欲の欲にまで達するような、もの凄く大きな成功者に絶対に必要な、「強運」を掴む条件なのである。つまり、「大きく稼ぐ」レベルを超えて「もの凄く大きく稼ぐ」レベルに到達するには、強運の持ち主であることが何より必須の条件になってくるのである。

面白いことに、このレベルまで達した大成功者たちは一様に、「自分には運があった」とおっしゃる。決して「自分はツイている」とは言わない。

というのは、ツキと運は違うものだからだ。ツキを卒業した強運の持ち主には、それが理屈ではなくわかっているのだ。

この違いを簡単に言えば、ツキは誰にでもやってくるものであり、運の場合はツキと違って、自らの運に身を任せなければならないほどの、大きな勝負に挑む人間にしか訪れないものであるということだろう。

というのも、運に身を任せなければならないほどの大事は、「大きく稼ぐ」人間にしか訪れないからだ。とにかく、ツキと運の本質、それぞれを掴む法則については、これから順を追って詳しくご説明するとして、重要なことは、ツキだけでは大成功者にはなれないということである。

つまり、大きく稼ぐレベルを超えて、もの凄く大きく稼ぐには、ツキの力を超えた「運」がどうしても必要になるということだ。

したがって、あなたが今いるレベルの成功から、さらに次の大きく稼ぐ人間になるには、これらの資質を一つ一つ身に付けて、ツキの波に乗り、最終的に運を掴んでいただきたいのだ。

そこで、まずはこれから、本書であなたに身に付けていただく「強運を掴む大成功者の8つの資質」を一つ一つ説明して、目指すべきところを明確にご理解いただくことから始めようと思う。

というのも、能力開発のファーストステップは、自分を知ることだからだ。つまり、今の自分に足りないもの、自分の成功を阻む心の壁に気づくことが、自分の限界を超える第一歩なのである。

したがって、これからご紹介する、社会的成功のみならず人間的成功をも掴み、無欲の欲にまで達した強運の持ち主たちの事例を見ながら、ご自分がここまで成功できたのはどんな力があったからなのか、そして、今以上に大きく稼ぐには何が足らないのかを考えながら、読み進めていただきたい。

【成功者の資質1】大きな野望―松下幸之助翁の場合

アイデア
(画像=Witthaya lOvE/Shutterstock.com)

アメリカの成功者、大富豪など約500人のインタビューを通して、その成功哲学を探り出したナポレオン・ヒル氏も、自身の著書の中でたびたび、「まず、心のうちに野望を秘めていること、これが成功者たる第一条件である」と述べている。当たり前のことであるが、これは非常に重要なことである。

そもそも目標がなければ、それを実現させることもできない。そして欲望や野望の大きさに比例して、その人が成し遂げる事業の大きさも決まってしまう。だから経営者は、一般人とは強さと質の違う野望を持たなければならないのだ。

そして、大きく成功する経営者の野望というのは共通して、自分の心がワクワクすることはもちろんのこと、その夢に共感して協力者を呼び寄せてしまうような、強く、そして壮大な、「志」とも呼べる野望なのである。

そういう意味で松下幸之助翁は、まだ電灯さえ普及の途にあった明治の終わりに電気の世界に身を投じ、徒手空拳から一代で松下電器を世界的企業に育て上げた、日本の電化文明を象徴する大経営者であるが、芥子粒ほどの極小メーカーを「世界の松下」に引っ張り上げてきた成功力の源が、この「志」にあったといえる。その幸之助翁を語る上で、よくひきあいにだされるエピソードのひとつに、昭和7年、松下電器の第一回創業記念式典で、翁が大阪の中央電気倶楽部に全店員168名を招集して語った、いわゆる「水道哲学」と呼ばれている経営理念がある。ときに幸之助翁38歳、創業3年目の年である。

「産業人の使命は貧乏の克服である。
そのためには、物資の生産に次ぐ生産をもって、
富を増大しなければならない。水道の水は価あるものであるが、
通行人がこれを飲んでもとがめられない。それは量が多く、
価格があまりにも安いからである。
産業人の使命も、水道の水のごとく、物資を無尽蔵たらしめ、
無代に等しい価格で提供することにある。
それによって、人生に幸福をもたらし、
この世に楽土を建設することができるのである。
松下電器の真使命もまたその点にある
(松下電器株式会社ホームページより)」

このとき、会場は言いようのない感動に包まれたという。その後行われた所感発表では、上席店員も新入の者も、老いも若きも壇上に上がろうと列をなした。感きわまって、しばし無言の者。武者震いする者。制限時間が3分から2分、2分から1分となっても店員たちの興奮は、おさまらなかったといわれている。

この日以来、強い使命感で一段と社員の団結が深まった松下電器の勢いが、とどまるところを知らなかったのは、その後の歴史が証明している。

ところで、この水道哲学を発表した昭和7年という年は、3月に日本が満州国をつくり、5月には五・一五事件で時の首相犬養毅が殺害されて、その3年前の1929年には世界恐慌が起こり、日本も企業倒産が相次ぐ大不況に見舞われ、社会不安は日に日に増している最中であった。

そんな社会不安と不景気の中で、幸之助翁は一企業の枠を超える、この水道哲学を宣言したのである。いかに幸之助翁の志が大きかったかが、おわかりいただけたと思う。

ところが世の中には、他人を押しのけ、他人を打ち負かし、自分の幸せをとことん追求しなければ、競争社会では生き残れないと誤解している人が多い。そういう人は「自分以外を喜ばせる幸せ」などというものに、どこかウソがあるような気がして、何だかしらじらしく思うものである。

しかし、ビジネスの本質とは、どんな商売でも「自分以外を喜ばせる幸せ」にある。少なくとも世の中で成功者と呼ばれる人たちは、必ずそういう目的を持っていた。彼らはその目的を自分の心で信じ、本気で人生の目的としていたのである。

「人を幸せにするために働く」、その気持ちが彼らに成功へ向うエネルギーを起こさせ、幸之助翁は従業員の心をひとつにしたのである。

書籍詳細

強運の法則

強運の法則
西田 文郎(にしだ・ふみお)
株式会社サンリ代表取締役会長。西田塾塾長。西田会会長。1949年生まれ。
日本におけるイメージトレーニング研究・指導のパイオニア。1970年代から科学的なメンタルトレーニングの研究を始め、大脳生理学と心理学を利用して脳の機能にアプローチする画期的なノウハウ『スーパーブレイントレーニングシステム(S・B・T)』を構築。日本の経営者、ビジネスマンの能力開発指導に多数携わり、驚異的なトップビジネスマンを数多く育成している。
この『S・B・T』は、誰が行っても意欲的になってしまうとともに、指導を受けている組織や個人に大変革が起こって、生産性が飛躍的に向上するため、自身も『能力開発の魔術師』と言われている。
経営者の勉強会として開催している『西田塾』には全国各地の経営者が門下生として参加、毎回キャンセル待ちが出るほど入塾希望者が殺到している。2008年春には、「ブレイントレーニング」をより深く学び実践し、世の中の多くの方々を幸福に導くために、通信教育を基本とした『西田会』をスタートさせた。
また、ビジネス界だけでなく、スポーツの分野でも科学的なメンタルトレーニング指導を行い、多くのトップアスリートを成功に導いている。2008年の北京五輪で金メダルを獲得した女子ソフトボールチームの指導も行った。その実績は、まさに日本のメンタルトレーニング指導の国内第一人者に相応しいものである。

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