ドクターが老後資金を心配している3つの理由 親の相続にも注意
(画像=PIXTA、ZUU online)

第3回はドクターの老後資金対策やライフプランニングの重要性について見ていこう。著書に『ドクターのためのお金の増やし方実践法』があり、ドクターのマネー相談件数は1,000件以上という「ドクターに特化したファイナンシャル・プランナー」の岡崎謙二氏に話を聞いた。(聞き手:菅野陽平)

岡崎謙二
岡崎謙二(おかざき・けんじ)
株式会社FPコンサルティング代表取締役。1級FP技能士・CFP®。保険会社勤務時に医師会年金を担当し、医師・歯科医師と多数面談。その際にマネー管理に手が回らず浪費したり、金融機関や不動産会社に言われるがまま商品を購入したりしているドクターが多いことに気づく。また税金や教育・老後資金などについて不安に思うドクターも多く、ドクター特有のお金の悩みを解決するために、日本で初めて医師・歯科医師に特化したFP サイト「ドクターのためのマネークリニック」(14fp.com)を2010 年にオープンする。これまでのドクターのマネー相談件数は1,000件以上と豊富な経験をもとに、ドクターの立場に立ち、保険や証券など金融商品を取り扱わない、お金の相談やアドバイスが好評。著書に『ドクターのためのお金の増やし方実践法』(2021年、ファストブック)

ドクターが老後資金を心配している3つの理由

「周りが思っている以上に、ドクターは老後資金を心配している」と岡崎氏は指摘する。ドクターは安定職かつ高所得であるため、老後は心配ないと思いきや、実際はそうでもないようだ。なぜ老後を心配しているドクターが多いのだろうか。

1つめの理由として、ドクターは現役時代の生活水準が高く、老後もその水準をキープしたいと考えている人が多いことが挙げられる。水準を落とせば生活できないことはないのだろうが、やはり一度高めた生活水準を落とすことは難しい。

2つめの理由として、「多くの病院では退職金制度がない、あっても少額に過ぎない」(岡崎氏)ということが挙げられる。ドクターの世界は転職が当たり前なので、退職金制度が整っていないことが多い。退職時にまとまった収入がないため、それまでの収入を貯蓄しておく必要がある。

3つめの理由として、高い収入に見合った年金がもらえるわけではないことが挙げられる。「厚生年金の保険料は、標準報酬月額という保険料率を年収にかけて計算する。年金額は標準報酬月額に加入月数と定率をかけて算出されるので、基本的には標準報酬月額が高ければ高いほど年金額は増える。しかし、標準報酬月額は65万円の上限があるので、年収1,000万円の人も2,000万円の人も同じ年金額になる」(岡崎氏)ためだ。

安易な「所得税対策目的の不動産投資」には注意が必要

それでは、ドクターが老後資金を準備するためにはどうすれば良いのだろうか。税優遇が大きい私的年金のiDeCoはしっかりとフル活用したいところだが、拠出金額に上限があり、問題の根本的な解決にはなりにくい。

やはり王道は、毎年しっかり貯蓄を増やしていき、それを資産運用することだろう。「相談者によって多少異なるが、基本的にはインデックスファンドへの積み立て投資をおすすめしている」と岡崎氏は解説する。

ドクターは所得税の負担が大きいため、ふるさと納税のようなお得な制度も有効活用したい。ただし、所得税対策をしたいからといって、安易な不動産投資には注意が必要だ。所得税を圧縮できたとしても、相場より割高な物件を購入してしまい、税圧縮効果よりも大きな損失を出してしまったら元も子もない。

「私自身、20年近く前から東京と大阪にワンルームマンションを4戸保有しているように、不動産投資は正しく行えば有効な資産形成手段だ。ただし、業者に言われるがままに購入することは控えたい。特に営業電話がかかってくる業者には注意が必要だ。なかには、医療関係者を騙って受付を突破している悪徳業者もいる」(岡崎氏)

そうはいっても、不動産は専門外であるドクターが物件の真贋を見極めるのは難しい。自分では判断がつかない場合は、セカンドオピニオンに相談してみても良いだろう。

ドクターの親も富裕層が多い 親の相続対策にも気を配ろう

ドクターの資産管理について、3回に渡って「ドクターに特化したファイナンシャル・プランナー」の岡崎謙二氏に話を聞いてきた。教育費にしろ、マイホーム購入にしろ、老後資金の準備にしろ、最も重要なことは「事前にライフプランニング(ライフプラン表やキャッシュフロー表)をしっかりと作成する」ということだ。

ライフプランニングをしっかりと作成すれば、いつ、どれくらいのお金が必要になるか明確となり、長期的な資金計画を立てることができるようになる。また、一番優先順位の高い選択肢が決まれば、少なくともそれが達成できるように資金計画を組むことができる。

見落とされがちなのは「親の相続対策」だ。第2回にて、子どもをドクターにするには多額の教育費がかかることを解説したが、それはドクター本人の親にも当てはまる。つまり、ドクターの親は裕福であることが多いということだ。

仕事で忙しいドクターは、親の相続対策まで意識が行き届いていないことが多い。基本的には自分が相続人の1人となるため、どのように相続人で遺産分割するのか、納税資金は確保できているか、相続税を少しでも下げる方法はないかなど、親の相続対策にも気を配りたい。

全ての資産管理行動はライフプランニングに通ず

全ての資産管理行動は「ライフプランニングに基づいて行われるべき」と言っても過言ではないだろう。目標が「見える化」されると、それに向かって努力する活力やバイタリティも湧いてくるものだ。まだライフプランニングを作成できていないドクターは、専門家などへの相談も含めて、一度作成してみることをおすすめしたい。

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