本記事は、名郷根 修氏の著書『10x 同じ時間で10倍の成果を出す仕組み』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

パズルのピースを持つビジネスパーソン
(画像=mapo / stock.adobe.com)

完璧を目指すよりも「最善主義」のほうがタイムパフォーマンスは高い

あなたは完璧主義ですか?それとも最善主義ですか?

「やらなきゃと思っても、なかなか取りかかれない」
「いつも書類などの提出が期限ギリギリになってしまう」
「プレゼンではミスしないように完璧な資料をつくらなければいけない」

あなたには、このような傾向はありますか?

完璧に仕上げなくては、と思えば思うほど行動するのが遅くなってしまったり、その行為自体がストレスになってしまったりします。じつは、私も以前はこのように考える完璧主義に陥っていました。

完璧主義でこだわりを持って質の高い仕事をするという点は、とりわけ職人やアーティストのような職業では、プラスに作用します。

ただ、完璧主義の人は、仕事でも成果が出やすいため、一見すると問題がないように思われますが、完璧主義のデメリットにも目を向ける必要があります。

完璧主義の人は、責任感が強く妥協しない、目標までの道は直線、失敗を恐れる、物事や出来事に対して「~であるべき」「~するべき」といった考え方をする傾向があります。

完璧主義の人が見ている世界は両極端しか存在せず、完璧でなくなると気持ちが折れてしまったり、燃え尽きてしまったりしがちです。とくに「仕組み化」において問題になるのは、完璧主義ゆえに起こる「先延ばし」です。やらなければと思いながらも、なかなかやり始めることができず焦りが募ってしまい、さらに期限が迫ってくると「これでいいのか?」と不安になってしまいます。

完璧を目指そうとすると、失敗を恐れてどうしても行動にブレーキがかかりやすくなってしまうのです。

そこで、「最善主義」 の考え方を意識することをおすすめします。「最善主義」とは、その時点での最善を尽くす考え方で、複数の選択肢を考え出して最善を選んで実行し、失敗したとしてもそこから学び、成長の糧にして、最善を尽くし続けることに価値を置く考え方です。

とくに自分に完璧主義の傾向があると思う方は、「最善主義」の考え方を意識してみてほしいのです。とは言っても「そんな簡単に完璧主義を変えられない」と思われる方もいると思います。

次は、完璧主義を抜け出すために役立つ質問です。これらの質問を自分に問いかけてみてください。

  • 完璧主義でいる利点は何ですか?
  • 完璧主義でいるために払っている代償は何ですか?
  • 完璧主義でいることで、周りの人にとってどのような良い影響がありますか?
  • 完璧主義でいることで、周りの人にとってどのような悪い影響がありますか?
  • 完璧主義の特徴で維持したいと思うことにはどんなことがありますか?
  • 完璧主義の特徴で取り除きたいと思うことにはどんなことがありますか?

タイムパフォーマンスを高める「80パーセントルール」

臨機応変に、かつ柔軟に「仕組み化」を進めていくべく、完璧主義をやめるための効果的な方法として、「10x」に基づいた考え方では「80パーセントルール」があります。

1人でフィードバックなしで仕事を完璧に完成させようとするよりも、アイデアを早い段階でチームメンバーに共有して、フィードバックをもらい、仕事の80パーセントに到達することを目指すのです。

たとえば、0パーセントから80パーセントに比べて、80パーセントから90パーセント、90パーセントから100パーセントとなるにつれ、より仕事の精度が求められます。

一方、「80パーセントルール」だと、自分ひとりで100パーセントの仕事を完了しようとするのではなく、早い段階でアイデアを共有し、チームのメンバーからフィードバックをもらいながら、結果的に仕事が速く進み、より良いものができます。

また、完璧主義によって先延ばしにしてしまう問題も、チームメンバーからの励ましや協力を受けると、ある種の強制力も働くことで、先延ばしせずに仕事に取り組めるようになります。

以前の私は、100パーセントになるまで誰にも頼らず最後まで仕事を完了しようとしていました。この「80パーセントルール」を知って実践するようになってから、完璧主義を手放すことができ、ほかの人の力を借りることでタイムパフォーマンスの高い仕事ができるようになりました。

この「80パーセントルール」を実践する過程でも「4つのC」が効果的です。まずは仕事を終わらせると決意して、勇気を持ってほかの「誰か」の力を借りてください。

未完成の仕事があることをチームメンバーに話したり、協力を求めたりするのは完璧主義の人であればとくに勇気がいると思いますが、一度この「80パーセントルール」を実践できるようになると、仕事が速く進み、かつ精度も高くなります。

「10倍の目標」を達成するための4つ目のステップとして、チームをつくって「仕組み化」するやり方をお伝えしてきました。これらの「仕組み化」も、いきなり完璧を目指すのではなく、「最善主義」の考え方で「80パーセントルール」を取り入れて行ってください。

「80パーセントルール」によって、早い段階でチームメンバーに自分のアイデアを共有し、フィードバックを受け、創造性とチームワーク、イノベーションを促進することができます。チームメンバーにアイデアを共有するのが早ければ早いほど、より良いアウトプットが生まれます。

10x同じ時間で10倍の成果を出す仕組み
名郷根 修(なごうね・しゅう)
1978年生まれ、岩手県出身。米国戦略コンサルティングファーム、グローバル医療機器メーカー・フィリップスで勤務後、現在はグループ合計年商180億円の医療分野の会社・南部医理科とフィンガルリンクの経営に携わり、世界最先端の医療技術や製品の普及に努めている。
世界一の戦略コーチであり、Strategic Coach社を創設したダン・サリヴァン氏に師事し、同社が提供している10x Ambition Programを卒業した唯一の日本人。
会社経営者やエグゼクティブ、起業家を対象に、事業を10倍にしながら自由な時間を生み出す講座、仕事の生産性を上げることに特化したコーチングプログラムを提供している。
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